炭は主に、いわゆる燃料としての役割が目立ちますが、その特徴を活かした商品開発が多く進められています。例えば、除湿・脱臭炭、炊飯・飲料のろ過用、化粧品などの原料として。また、風鈴などインテリアとしても活用されています。さらには”食べれる炭”として食品やサプリメントに加工されたものもあります!ライフスタイルの変化によって、自宅でBBQを楽しむ人が増えると、炭の需要はさらに広がっていくかも?!炭の隠れたニーズと可能性を、あなたの閃きと感性で輝かせてみませんか?!
【炭焼き職人今城さんへのインタビュー】
—————— 「土佐備長炭」と「四万十備長炭」の違いはなんですか?
原料(樫・ウバメガシ)の割合も、焼き方も「土佐備長炭」と同じです。ただ「土佐備長炭」は伝統産業として歴史がありますし、窯も職人も多いです。うちも「土佐備長炭」に属してほしいと言われましたが、四万十市で作る炭なら「四万十」の名前でやりたくて。粘った結果、四万十備長炭「まさやんの炭」で商品登録できました。
—————— 炭が出来るまでの工程を教えてください。
まず、山に木を切りに行ってトラックで窯のある作業場へ運んで下ろして。これを1日に数回繰り返します。
翌日、適切な長さに切って、太い木は割って窯の中にくべます。これにまた丸1日かかります。
その翌日から、くべた生木を12~13日あぶり続けて乾燥させるんです。炭にする生木には火はつけずに、窯の中に火を焚いて扇風機で空気を入れて枯らすんです。この13日間の水分の調整が難しい。枯れた木はだめ。切って1か月以内の水分のある生木じゃないと。ヒビが入ったらいい炭にならんので。
それから煙が充満した窯の中で炭化させた後、燃えないように1000度以上で焼き上げていくんです。燻製の状態ですね。
木全体が収縮して焦げたら煙が出んなって、今度は真っ赤な火になるんです。それがじわーっと白くなってきたら窯から引っ張りだして冷ますんです。
木をくべてから全体で20日くらいかな。年中作れるけど、木の状態や梅雨の時期なんかは見極めがむずかしくなるね。煙の色や、におい、窯口の火の様子で見るんよ。
—————— ものすごい重労働ですね。。。
はい(笑)もう80を過ぎたので、体力的に難しくて今は焼いていないんです。窯はあぶらないかん、木は切りにいかないかん、帰ったらすぐくべないかん、真っ赤に焼けた炭を引っ張り出さないかん。そりゃもう大変よ。中途半端では無理よ(笑)
—————— 習得するにはどのくらい時間が必要ですか?
プロになるには5年以上はかかるね。良いものを見極める感覚を身につけないかんき。でも、ほんっとに本気でやれば若い人なら2年くらいでそれなりの形なるかもしれん。
—————— 卸し先はどういうところですか?
うちはできるだけ、直接!使う人に届けたい。間に販売店や物流を通すと2割は高くなるからね。それよりは、四万十備長炭の良さを知って、使ってくれている人に!直接電話で受注して、良いものだけを選りすぐって箱詰めして、運賃もこっち持ちで送るんです。その方が使う人が喜んでくれるから。東京渋谷のうなぎ屋さんなんかにも送ってます。最近も、どこからか噂を聞きつけて「今度京都でお店を出すから、そこで炭を使わせて欲しい!四万十の炭やないとだめだから」と電話がありました。都会の人は、「土佐備長炭」より「四万十備長炭」と言った方が喜ぶ(笑)「四万十」は全国的にもネームブランドがあるんやろうね。不思議(笑)
とにかくうちは「良いものを・必要としてくれる人に・出来るだけ安く届けたい!」という想いでやってます。
—————— 今城さんが思う『炭焼きの魅力』とはなんですか?
やっぱり何度やっても、まっすぐぴんとした立派な炭が出来たときは気持ちがえいわね。
ぐしゃっと折れてしまった炭では気持ち悪い(笑)
—————— どんな方に引き継いて欲しいですか?
ほんとに、本気で、炭焼きになりたい人に来てほしいです。
覚悟がある人には、命ある限りその技術を伝えたいし、そういう人になら窯を譲ってもいいと思っている。炭焼きの楽しさを知って、「四万十備長炭」をこの地に残していってほしいです。