移住者インタビュー
土佐三大まつりの一つ「秋葉まつり」の地、高知県仁淀川町別枝(べっし)。祭りの日には関係者約300人、来場者5000人が集まり賑わう一方で、人口はこの10年で半減し60名、平均年齢は78歳と高齢化が進んでいます。そんな地域で、都市部から帰郷した3人のUターン者が集落活動センターを拠点に地域再生に挑んでいます。
片岡 和彦さん(左)
大石 邦廣さん(中央)
中越 八束さん(右)
なぜUターンを決意されたのですか? それぞれの経緯や想いをお聞かせください。
片岡さん(73歳)
私は高知市内の工業高校を卒業後、大阪の企業に就職し、40年間勤務しました。57歳で早期退職し、別枝にUターンしました。
戻ろうと決めた理由は三つあります──「両親を支えたい」「ふるさとに貢献したい」「田舎の暮らしを楽しみたい」──これが大きかったですね。
小学生から高校生まで、秋葉まつりには毎年何かしらの役で関わってきましたし、大阪で暮らしていた頃も年に4回、季節ごとに帰省していたので、ふるさとにはずっと思い入れがありました。
大石さん(69歳)
高校から高知市内に進学し、そのまま市内で就職しました。地元を離れるときから「子どもが巣立ったら、いつか別枝に帰ろう」と決めていたんです。
55歳で早期退職しUターンしましたが、年金の支給開始年齢が引き上げられたこともあって、60歳までは仁淀川町で介護の仕事に就きました。
Uターン後は、予想以上に地域の役が多くて(笑)。忙しくて定職に就けないほどで、驚きました。
中越さん(66歳)
私は神社の家に生まれ、高知市への中学進学で地元を離れました。若い頃は帰るつもりはなかったのですが、50歳を前に「何かの役に立たないと」と思うようになり、自分の代で何かが終わってしまうのは嫌だという気持ちが芽生えました。
地域で、最後の神主だった父が急逝したのをきっかけに、58歳でUターン。1年半後には妻も合流し、家を建て直して今の暮らしが始まりました。
今では地域の男性で最年少。秋葉まつりをはじめとした伝統行事を守りながら、次の担い手を見つけることが大きな課題だと感じています。
Uターンしてから、まずどのように地域とかかわり始めましたか?
片岡さん
私が帰ってきたときは、10歳ほど年上の先輩方がまだ中心で動いていて、その方々と一緒にやりながら徐々に役を引き継いでいきました。
まずは近所の人たちと小さな公園を作ってそこに東屋を建てたり、集落の中で家まで道路がついていない場所があったので、行政に掛け合って毎年少しずつ道路整備を進めたり。今も、秋葉まつりの保存会や沢渡茶生産組合、秋葉まつりの里・未来会議などいろいろ担っています。
大石さん
戻ってきた当初は、とにかく地域の人の手が足りないということで、あっという間にいろんな役に就くことになりました。気づけば最大で16の役割を持っていたこともあります(笑)。でもその分、地域の課題がよく見えるようになったし、今では3人で役割分担しながら動けているのがありがたいです。私は“営業・企画”担当かな。
中越さん
もともと上区と下区で別々に活動していたものを、3人で「別枝としてひとつにまとまっていこう」と話し合い、地域のこれからを考える場として“秋葉まつりの里・未来会議”を立ち上げました。立ち上げはできても、続けていくには次の担い手が必要。それが今、一番の課題です。
※別枝(べっし)地区は「上区(かみく)」と「下区(しもく)」に分かれており、秋葉まつりや地域行事は両区が協力して支えています。
「秋葉まつりの里・未来会議」について、もう少し詳しく教えてもらえますか?
「秋葉まつりの里・未来会議」は、「この集落をなくしたくない」という住民の思いから、別枝地区で立ち上がった団体です。
これまでも秋葉まつりをはじめ、伝統文化や自然・景観を守りながら地域活性を目指す団体はありましたが、約2年間の準備期間を経て令和4年4月から本格的な活動をスタートさせました。
毎月の話し合いを重ねながら、茶園の手入れや耕作放棄地の再生、特産品の販売、地域内外との交流イベント、買い物支援、空き家を活用した無料のおためし宿泊所の運営など、さまざまな活動を進めています。
令和7年3月には、事務所として使っていた「渓流茶屋 嵯峨野」を活用して、集落活動センター「秋葉の里 別枝」がオープンしました。現在は、軽食などの飲食提供に向けてキッチンの整備を進めています。
また、令和5年8月にオープンした絶叫吊り橋&ジップライン NIYOFLY(ニヨフラ)でのアクティビティや岩谷川渓谷沿いでの渓流散策、来年秋に開業予定のグランピング施設など、地域の魅力を体験できる滞在型観光の仕組みづくりも進行中です。
これからも、地域の元気とにぎわいを取り戻すために、さまざまな挑戦を続けていきます。
活力ある別枝地区にするために、望んでいることを教えてください。
地元出身者には特に、地域の交流人口として関わりながら、ゆくゆくは地域に戻ってきてほしいと思っています。
また、地域の取り組みを応援してくださる方には、「秋葉まつりの里・パトロン会」への参加というかたちでのサポートもお願いしています。
さらに、現在整備中の集落活動センターを活用して、軽食やカフェなどのかたちで、新しいチャレンジをしてみたい方もお待ちしています。
高知市内から車で約1時間半。日常の買い物や学校、医療機関までは30分ほどかかる場所ですが、その分、豊かな自然と静かな環境が魅力です。
まずは「銀杏の家」という無料のおためし宿泊所で生活を体験し、秋葉まつりなどの地域行事に参加しながら地域を知ってもらえれば嬉しいです。
【お問い合わせ先】
■秋葉まつりの里・未来会議 事務局
住所:吾川郡仁淀川町別枝895
TEL:0889-20-9030
インスタグラム:@mirai.kaigi
セカンドキャリアとして“地域とかかわる暮らし”、はじめてみませんか?
6月28日(土)大阪・29日(日)東京にて、高知県最大の移住相談会「高知暮らしフェア2025夏」を開催します。
当日は、別枝地区をはじめ県内各地の暮らしや仕事の情報をたっぷりご紹介。気になる地域の担当者と直接お話しもできますよ。
お気軽に、未来の暮らしをのぞきに来てみてください。
\ 高知暮らしフェア2025夏 /
▶︎ 大阪会場
日時:2025年6月28日(土)10:00~16:00
場所:OMMビル2階 Aホール
▶︎ 東京会場
日時:2025年6月29日(日)10:00~17:00
場所:東京交通会館12階 ダイヤモンドホール
「高知暮らしフェア」特設サイトはこちら
高知暮らしをお考えのみなさまのご相談を承ります!
移住までの経緯や高知での生活の様子、地元の方に思いなどを聞きました。
企業就職以外の『高知ならではの多様な働き方』をご提案します。
高知県へのUIターンに関するイベントや移住者向け交流会の情報を掲載しています。
イベント情報や支援情報など、
最新の情報をメールでお知らせします!