【室戸市】自然と共に生きる!「室戸ジオパーク」の大地と人々の暮らしの関係

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台風・地震などの災害もある一方で、恵みももたらしてくれる「自然」と共生してきた
室戸市の人々の生活を紹介します。
【室戸市】自然と共に生きる!「室戸ジオパーク」の大地と人々の暮らしの関係

室戸ジオパークとは?

高知市から東に車で2時間。台風でよく知られる室戸岬を有する室戸市は、現在ユネスコ世界ジオパークに認定されています。ジオパークとは、地質学的に重要な地層や地形を持ち、かつ「自然と人間の関わりを理解する場所」として整備・研究・教育などが行われている場所です。よく室戸岬近辺だけがジオパークだと勘違いされることが多いのですが、実際には室戸市全域がジオパークと認定されているのです。

今回はそんな世界ジオパークに認定されている室戸市を、「自然と人々の生活の関わり」という観点から紹介します。

台風・地震などの自然災害への対策が町の景観をつくった

室戸市西部の吉良川町には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている古い町並みがあります。特徴としては、「土佐漆喰で塗られた白い外壁」や「水切り瓦」、「いしぐろ」と呼ばれる石垣などが主に挙げられます。

かつては「台風銀座」と呼ばれたほど大型台風が頻繁に襲来した室戸市では、家の台風対策は必須でした。そのため、吉良川町には昔の人たちの知恵が込められた伝統的な家屋が多く残っているのです。

町を歩いて家々を見ていると、台風時の強い横雨が家の中に浸透するのを防ぐ「土佐漆喰」の白い壁と、その土佐漆喰の壁を守るために壁の途中で雨水を切るよう設置された「水切り瓦」が目につきます。また細い路地を登って少し高台の地区へ行くと、丸い石を半分に割ってきれいに並べて作られた「いしぐろ」と呼ばれる石垣がたくさん出てきます。これも台風の強い風から家を守るためのものです。

ここでは紹介しきれないほどたくさんの特徴をもつ吉良川の町並みは、台風という自然災害と地域の人々がうまく付き合いながら生まれた景観といえます。

また室戸市の中心部にある「室津港」は、過去に南海大地震が起こるたび土地が隆起してしまったため、そのたびに掘り下げる工事をした港です。そのため人々が普段通る道路から7~8mも下に水面と漁船がある、少し不思議な景色となっています。

地震で隆起した大地があるから今の農業・漁業がある

室戸市は定置網漁業とキンメダイの漁が盛んですが、そこにもまた自然と密接な関係があります。室戸岬の東側の海は沿岸から急激に深くなっている地形で、陸地から船で数分沖に出ればすぐ深海に到達します。

深海魚であるキンメダイを捕る漁師も多く、深海が近いため、水揚げしてから鮮度を損なわずに港に帰ることができるのが強みです。また定置網漁業は水深70mほどの場所に網を設置していますが、深層からの海流が海底の壁に当たって昇ってくることにより、栄養分豊富な漁場となっているのです。

さらに「西山台地」と呼ばれる、大昔は海底だったところが100m以上隆起してできた土地があります。西山台地は日当たりと水はけが良いだけでなく、海からの風が適度なミネラル分を運んでくれるため、サツマイモやポンカンなど農作物の生産が盛んなのです。

室戸市の人々は昔から現在に至るまで、特有の自然とともに生活をしてきたのです。

海、サツマイモ

自然と暮らしが密接に関係する室戸ジオパーク

このように、自然環境と人々の生活との関係を理解しやすいのは、室戸市が世界ジオパークに認定されている所以でもあります。市全体がジオパークの取組を推進しており、それは学校教育の場にも見られます。市内唯一の高校である室戸高校には「ジオパーク学」という授業があり、生徒たちはジオパークという見方を通して自分たちの地域のことを学びます。また、高校生や地元のガイドさんたちは国内外のジオパーク地域とも積極的に交流をしています。

室戸市は、普段は忘れてしまいがちな私たちの生活と自然との関係を実感できる場所です。日帰り観光ではなく、ぜひ一度ゆっくりと室戸市に滞在してみませんか?そして住んでみると、より自然とのつながりを感じられますよ。


※この記事は、2023年2月27日時点の情報を掲載しております。

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