移住者インタビュー

【佐川町】自分のペースで山に向き合う。林業×絵描きの兼業というライフスタイル

一覧へ戻る 【佐川町】自分のペースで山に向き合う。林業×絵描きの兼業というライフスタイル

林業と聞くと、“男性の仕事”というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。でも最近では、林業にチャレンジする女性も少しずつ増えているんです! そこで、佐川町地域おこし協力隊として林業に取り組みながら、絵描きとしても活動中の宮﨑さんにインタビュー。自伐型林業の魅力、佐川町で協力隊として活動することのメリット、林業との兼業についてなど、さまざまな角度でお話を伺いました。

宮﨑 あかねさん

  • 出身地:東京都
  • 現住所:佐川町
  • 移住年:2024年
  • 職業:地域おこし協力隊

高知移住のきっかけと、佐川町で林業ミッションの協力隊を選んだ理由は?

出身は東京ですが、埼玉の山の中の高校に通っていました。当時から絵を描くことが好きで、本格的に制作を始めたのもこの頃です。将来は企業就職ではなく、絵描きをベースに兼業というライフスタイルをイメージしていて、なんとなく一次産業がいいなと考えていました。

そんなとき、知り合いから“自伐型林業”という選択肢を提案され、環境にやさしく持続可能な林業という点に興味を持ったんです。そして「自伐型林業をやるなら高知県の佐川町だよ」と聞き、それまで行ったことのなかった高知を初訪問。

佐川町役場で相談したところ、
・地域おこし協力隊の制度を活用すれば、一定の給与を得ながら活動ができること
・未経験でも安心して林業に取り組める環境が整っていること
・住宅支援など、移住者に手厚いサポート体制があること
・女性の受け入れ実績もあり安心感があったこと
・絵を描くことにも並行して取り組んでいけそうなこと
などが決め手となり、高知移住を決意。

高知に住んでいる友人から「高知いいよ~」と聞いていたことも安心材料になりましたね。引越しは、東京から軽トラで荷物を運びました(笑)

ほかにも自伐型林業ができる地域はあったのですが、沖縄の大学に通っていたこともあり、温かい地域がいいなと思ったことも、高知を選んだ理由のひとつです。佐川町での暮らしは、スーパーも近くにあるし、車さえあれば不便を感じることも全くなくちょうど良い規模感かなと思います。

具体的にはどんな活動をしている?

まずは施業に欠かせないチェーンソーの使い方をOBから教わり、資格を取ることがスタートでした。丸太を使って伐倒の練習をしながら、少しずつ慣れていきましたね。

協力隊としての主な業務は、ユンボを使った作業道づくり。作業道づくりは、自伐型林業で一番大切な作業でもあります。もともと車の運転はしていたのですが、勾配が急な山道の運転技術は、高知に来てから身に付きました。

協力隊の任期中は、必ず2人以上で作業することが決められています。今は協力隊員が私1人だけなので、OBと一緒に町有林を施業したり、OBが所有する山での施業に参加させてもらったり。いつどの山で施業するかは、役場が管理しているスプレッドシートを見て調整します。

現場で必要となる技術は、OBから教えてもらうことはもちろん、林業大学校での講習や資格取得も町の負担でできるので本当にありがたいです。山に行かない日には、役場で日誌やSNSの更新、チェーンソーのメンテナンスなどの作業をしています。

宮﨑さんが考える、自伐型林業の魅力とは?

林業って、ものすごい力仕事というイメージがあるかもしれませんが、実は工夫次第で力を使わずに作業する方法があるんです。だから、女性だからとか関係なく取り組むことができています。最初に比べて腕に筋肉はつきましたけどね(笑)

林業組合などではある程度効率が求められるので、どうしても力が必要になる場面はあると思いますが、自伐林業なら、自分のペースで山に向き合えるので、そこも魅力です。山林での作業なので虫ももちろんいますが、山の中の高校に通っていたこともあり、田舎暮らしへの耐性は自然と身につきました。ムカデとかゴキブリも全然平気です。

実は、最初は農業もいいなと思っていたんです。でも、畑は山と違って放置することができない。その点、林業だと多少山を放置しても大丈夫なので、たとえば二拠点生活を望む人や、兼業したい人にも向いていると思います。複数の仕事を組み合わせたり、たまには都会に行ったりすることが、精神的にも安定するポイントかなと思います。

お昼は山の中でお弁当を食べるのですが、山の中で食べるのは最高に気持ちいいです。夏でも山の中は涼しいんですよ。
チェーンソーを使いこなす宮﨑さん
チェーンソーを使いこなす宮﨑さん
OBと一緒に作業をするので安心
OBと一緒に作業をするので安心

「絵を描くこと」とはどのようにバランスを取っている?

協力隊の出勤は週4日。佐川町の場合、出勤日数は月単位で自己管理するスタイルのため、勤務日を集中させて、まとめて休みを取ったりもしています。
そうすることで、制作に集中したり個展の準備をしたりと、自分でスケジュール調整できる自由度の高さは魅力。月に一度は県外に行ったり、時には展覧会に参加したりとバランスよく活動ができています。モチーフなど、ヒントを得られるものが山にはたくさんあるので、林業の活動が絵を描くことにも活かせていますね。

今は一軒家の空き家活用住宅を住まい兼アトリエにしています。4部屋ある2階建ての一軒家に一人で住んでいて、かなり贅沢ですよね。家賃補助もあり、とても助かっています。

私みたいに林業だけでなく、木工や執筆活動、体験型ワークショップの開催など、自分の好きなことや得意分野を生かして兼業で林業に取り組んでいる人は多いです。副業から専業まで、自分のライフスタイルに合わせられるのも、自伐型林業の大きな魅力だと思います。
絵描きとの兼業で林業に取り組んでいる
絵描きとの兼業で林業に取り組んでいる
時には展覧会も開催
時には展覧会も開催

将来のビジョンを教えてください

良い山って、歩いていて気持ちのいい山だと思います。どれくらい手入れされてきたかで木の値段も全く違う。でも、“稼げる山”にすることだけを考えるのではなく、環境のこともしっかり考えていきたいんです。ヒノキやスギだけが生えている山ではなく、生えてくるものを切らない混合林が理想。そして、生き物がたくさんいる山にしたいですね。

山は本当に奥深くて、そのすべてを知り尽くすことはできませんが、もっとたくさんの情報を知って、その中から選択肢を選んでいけたらいいなと思います。環境に配慮した山づくりのため、今はとにかく山のことをもっと知りたい、という気持ちです。絵を描くこととも両立させて、多拠点でバランスよく活動ができたらと思っています。

おすすめ記事

オススメコンテンツ

イベント情報や支援情報など、
最新の情報をメールでお知らせします!

Go Top