移住者インタビュー
30歳という節目の年に高知移住を決めた貴志さん。移住を提案したのは、高知出身の妻ではなく貴志さん自身でした。現在は地域おこし協力隊を経てWEBデザインの法人を立ち上げ、幅広い仕事にチャレンジする貴志さんにお話を聞きました。
貴志 諭里さん
高知移住のきっかけは?
もともとは出身の和歌山で教員をしていました。特別支援学校高等部の教員だったのですが、仕事は激務。そんな中、学生時代に知り合った高知出身の妻と29歳のときに結婚。教員として7年間の勤務を経て“やり切った感”があったこと、ちょうど30歳になる節目の年だったこともあり、今後について考えるようになりました。
それまで高知には旅行で2回行ったことがある程度でしたが、妻の親戚が集まって、缶ビール片手に15人くらいでワイワイと宴会(おきゃく)をする様子がまさに映画『サマーウォーズ』のようでドストライクだったんです。人の良さにも惹かれ、自分から「高知に住みたい」と提案しました。
いの町の本川地域を選んだ理由は?
妻が高知市出身ということもあって、最初は高知市内で検討していました。仕事をどうしようか、住む場所は高知市がいいのかなどいろいろと決めかねており、“本当に移住して良いか”の気持ちを確かめるために改めて高知を訪問。高知県UIターンサポートセンターにも相談しました。そんなとき、いの町本川に住んでいる妻の祖父から「移住するなら、地域おこし協力隊という手もある」と聞いたんです。募集ミッションは「本川手箱きじの生産と販路拡大、商品開発」。ちょうど応募〆切のタイミングだったこともあり、すぐに応募しました。
住まいは役場の職員に紹介してもらったのですが、最初に内見した家は正直住みたいとは思えず……。その後、川の目の前にある今の家を紹介してもらい、ここなら!と決めました。納得のいく住まいが見つからなければ、協力隊という選択肢は断念していたかもしれません。
移住してからの仕事を教えてください。
協力隊としての仕事は、きじを育てるところから始まり、解体、精肉、販売、商談会への参加など、きじに関わることすべて。本川手箱きじ生産企業組合の方々と一緒になって取り組みました。協力隊の仕事は週4日なので、残りの3日は自由。その時間を使って、1年目の冬には狩猟免許を取得して狩猟を始めたり、もともと趣味で制作していたWEBページを見た知人からデザインの仕事の依頼が舞い込んだりと、少しずつ兼業の幅が広がっていきました(いの町では、休暇日であれば副業可)。今はWEBデザインの仕事をなりわいとしていますが、県内での仕事に繋がったのは、いの町から依頼を受けた「仁淀川まつり」のチラシ作成の仕事がきっかけでした。
そんな風にして少しずつ忙しくなり、結局きじのミッションには2年間取り組んだ後、3年目にはフリーミッションに変更してもらうことになりました。いの町には柔軟に対応していただき本当に感謝しています。そして、協力隊卒業を控えた3年目の10月に、それまで個人事業として行っていたWEBサイト制作を法人化しました。それに伴い、業務の範囲もサイトの制作・リニューアルだけでなく、SNSなど各種広告運用・集客・地域活性化を目的とした自治体の伴走支援などに拡げています。
ほかにも、もともと本川地域特産の原木舞茸の生産と販売を開始したり、県内の協力隊の活動を支援する団体「とさのね」のサポートチームメンバーとしても活動しています。好きなことをしているので、”ぜんぶが遊びでぜんぶが仕事”という感じですね。
ちなみに妻は教員の経験を活かして小学校教諭をしていますが、今は子どもが生まれ育休中です。
本川での暮らしをどう感じていますか?
スーパーと病院が近くにないことがネックではあります。本川は愛媛との県境近くにあるのでスーパーは愛媛県西条市まで出るのですが、そこまで約40分。食材はいつもまとめ買いです。病院は、必要なときはいの町の街中へ出向きます。
その点は少し不便ではあるものの、今のところ引っ越す気はありません。家の目の前を川が流れていて、魚をとったり虫を捕まえたり、外遊びが本当に楽しいです。実は本来はインドア派で肌も真っ白。学生時代は部活もせず家でゲームばかりしているようなタイプだったのですが、こっちに来て変わりました。最近は養蜂にもチャレンジしているところです。
これから地域おこし協力隊にチャレンジする人へアドバイスするとしたら?
「役場の人の気持ちにもなること」です。自分はもともと教員で公務員だったこともあり、例えば意思決定に上司の決裁などが必要で、時間がかかる場合があることは理解しています。協力隊は公務員として働くことになるので、そのあたりの認識は必要かなと思います。そうすれば、役場の方との関係性もうまく築けると思いますよ。
あとは「積極的に地域に入ること」。例えばイベントを手伝ったり、身近なところでいうと車のナビを設定してあげたり。何でも良いので、地域の人の役に立つことができたらいいなというスタンスでいることですね。自分の住んでいる地区は8世帯17人と人との距離が近いため、そういったことがしやすい環境であることも、自分にとっては良かった部分のひとつです。挨拶などをきっかけに、地域に入りやすかったかなと思っています。
最後に、今後の展望を聞かせてください。
まずは、本業である会社の方をしっかりやっていくのはもちろんですが、それに加えて舞茸の生産も増やしていきたいです。「本川の特産品といえば舞茸」と言われるくらい軌道に乗せて、他の移住者にも取り組んでもらえるように、自分がそのロールモデルになれたらと思っています。
そんな取り組みが本川地域を盛り上げることに繋がって、地域のおじいちゃんおばあちゃんが元気になってくれたらうれしいですね。
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